東北百名山への道
祝 東北百名山完登

娘と船形山に登る

 俺が登山を始めたきっかけは、マラソン(トライアスロン)のトレーニングの一環だった。クロスカントリーの延長線で脚力と心肺機能の強化には最高のトレーニングで、頂上に着いた時の達成感はフルマラソンのゴールの感動と共通するものがある。しかしながら軽装備で、しかも登山に関する知識がないものだから危険を感じたことも少なくない
 登り始めた頃、NHKで「深田久弥の日本百名山」が放映されていた。あのテーマ曲が気に入って見てるうちに自分も登りたくなってきた。しかし俺の仕事は土曜日も半ドンで、長期の休暇を取れる職場でもないので「日本百名山」は無理と判断した。しかしせめて東北にある百名山だけは登ろうと思い、3年かけて登り、それが達成されると今度は二百名山とエスカレートし、最終的に東北百名山を登ろうと決意した。
 足掛け8年、家族登山そして職場のS氏と登ったりしたが、ほとんどが単独での登りだった。単独は遭難の危険性が高いが、大自然の中で一人でいることでリフレッシュすることができるし、なんといっても自分のペースで登れるのがいい。交通費を抑えるため1回の山行で複数の山を登った。本当の山屋から言わせれば「なんと馬鹿な登りをするんだ」と思われるでしょうが、マラソンのトレーニングを兼ねているので走れるところは走って登り、下りは転げるようにして下りた。基本的に1時間に2〜3分の給水のため小休止はするが頂上まで一気に登った。しかし可憐な高山植物や素晴らしい景色が見ることができる場所では立ち止まって写真を撮った。そんな登り方だったが、意外と東北百名山のひとつ一つの山に思い出があるが、その中でもとりわけ印象的な山は朝日連峰と飯豊連峰だった。アプローチが長く、登るにはハードな山だが、それ以上に感動的な景観を味わうことができた。100番目の山は残雪期の南八甲田で遭難しかけた「櫛ヶ峰」へのリベンジ登山だった。達成した時は、嬉しさの余り、誰もいない頂上で万歳をしてしまい、目頭が熱くなった。チャレンジした者だけが味わえる達成感だ。
 今後は、東北以外の山にも登ってみたいが、東北の気に入った山をゆっくりと登ってみたい。

黒伏高原から朝日連峰