合計10万円を超え、妻から「そば屋さんで食べたら何食分になるかしら?高いそばになりそう!」と皮肉を言われながら修行を開始しました。そば打ちの世界では「そば打ち3年、包丁3月、釜前一生」といわれ、包丁切りはコツさえ覚えれば意外と簡単に切れるものですが、最初の水廻し(加水)はその日の天気、湿度等で微妙に違ってきて難しいものです。しかし、毎週のように修行を重ねた結果、半年ぐらいで納得のいくそばを打てるようになりました。
そばの良し悪しはそば粉によってほぼ決まります。新そば&挽きたてのそば粉で打ったら少々腕が悪くても美味しいものです。俺の性格は極めないと済まないもので、美味しいそばのために、そばの栽培から始めて、自分で石臼で挽いて打ちたくなりました。最初に石臼のゲットですが、俺は田舎に行けば簡単に手に入るものと思っていたのですが、師匠から「石臼の命は目(上下の石の間のギザギザ模様)で田舎に転がっているものは目が風化して使い物にならない。」と言われた。仙台市内の石材屋さんに問い合わせても作っているところなく、インターネットで購入しようとすると、直径30センチ以上の物は15万円以上と高価で、諦めかけようとしました。そんな時仙台市郊外の石材屋が趣味で作っているという情報があり、早速電話してみました。問題は値段なのですが、確認したところ反対に「いくらで買う?」と言われ、インターネット上での値段もあり10万円はするだろう。しかしサラリーマンの小遣いで5万円以上の買い物は高価過ぎる。かと言って5万円と言ったら相手にされないだろうと予想し、その間をとって「7万円で」と言ったら「俺はこの石臼を作るのに丸3日かかったのだぞ!材料代にしかならない。」と言われたので「俺はこれ以上出せないので、ボーナスでも入った時にでも出直してきます。」と諦めた。そうしたら「可愛そうだから7万円で譲ってやる。」といういきさつで見事にゲットすることができた。
さて、そばの栽培だが実家が兼業農家で使っていない畑(6畳位の広さ)を借りて、除草と石拾いをし、兄貴に耕運機で耕してもらった。お盆過ぎに種を蒔き、2週間後に見に行ったら10センチ程に成長していた。これを間引いておひたしにして食べたら、これがまた美味しく、得した気分になった。8週間後に実家から「そばの花が満開」との電話を受け花見に行く。(なんと可憐な花だろう!)しかしその後台風に見舞われ、倒伏してしまいまい、収穫はできないかなと心配しましたが、何とか実を付け、11週目に刈り取りをし、乾燥、脱穀をしました。唐箕(とうみ)でゴミを取ったのだが、台風で倒れたせいで小石がたくさん混ざっていて、選別するのに時間を費やした。見るからに収穫量は少なかったが、計ってショック!たったの3キロ、これを製粉したら2キロしかならないのだ。師匠の製粉所から買えば2,000円分!今までの労力が値段にするとたった2,000円、がっかりだった。気分を取り直して、マイ石臼でゴロゴロと挽いて試食しました。見た目は挽きぐるみなので黒いのは仕方がないが、異常に黒い!そばの香りもあまりしない!そして食べてみたら、「ジャリ」とした食感、まだ石が残っていたのだ!はっきり言ってあまり美味しくなかった。くやしい!
春夫庵のお客様
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親方4人衆